自分の特許を使っている他企業を調査するには?
「せっかく取得した特許、もしかして他社に真似されていないだろうか?」 「ライバル企業のあの新製品、自社の特許技術を使っている気がする……」
知財担当者や経営者の方々から、このようなご相談をいただくことは少なくありません。特許は「持っているだけ」では防衛の盾にしかなりませんが、適切に調査し、必要に応じて権利を行使することで、強力な収益源や市場の独占権へと変わります。
本記事では、20年以上にわたり特許実務、そして数多くの侵害訴訟やライセンス交渉に携わってきた専門家の視点から、他社の実施状況を調査するための実践的なステップを解説します。
1. 「当たり」をつける:公開情報からのモニタリング
まずは、闇雲に調べるのではなく、効率的にターゲットを絞り込むことが重要です。
- 競合他社の新製品プレスリリース・WEBサイト 最も基本的な情報源です。新製品のスペックや構造図、プロモーションビデオから、自社特許の構成要件(技術的特徴)が含まれている可能性を推測します。
- 他社の特許出願状況の監視 他社がどのような特許を出願しているかを確認することで、その企業の現在の開発注力領域が分かります。自社特許を回避しようと苦労している跡(引用文献としての登場など)が見つかることもあります。
- 展示会や業界誌での情報収集 カタログや現物を確認できる貴重な機会です。営業部門と連携し、「気になる他社製品」の情報を吸い上げる体制を作っておくのが理想的です。
2. 技術的分析:特許請求の範囲(クレーム)との照合
「似ている」だけでは侵害にはなりません。法律的な「侵害」を立証するには、自社特許の「特許請求の範囲(クレーム)」に記載された全ての要素を、他社製品が備えている必要があります。
- クレームチャートの作成 自社特許の構成要素を分解し、それに対応する他社製品の構成を一つずつ当てはめていく作業です。
- 文言侵害と均等論 文字通り一致する場合(文言侵害)だけでなく、一部が異なっていても「本質的な部分が同じで、置き換えが容易」であれば、「均等論」により侵害とみなされるケースもあります。ここには高度な法的判断が必要です。
3. 物的証拠の確保:リバースエンジニアリング
外観だけでは分からない内部構造やソフトウェアの挙動、製造プロセスなどの調査には、より踏み込んだアクションが必要です。
- 製品の購入と分解(ティアダウン) 市販品であれば、実際に購入して分解し、内部の基板や機構を詳細に解析します。
- 外部専門機関による分析 X線撮影、SEM(走査電子顕微鏡)観察、組成分析など、必要に応じて特殊な機器を用いた分析を行い、確実な証拠を固めます。
- プロセスの推定 製造方法の特許の場合、製品そのものからプロセスを逆算して推定するロジックを組み立てます。
4. 20年の経験が教える「調査の落とし穴」
多くの調査を経験して分かったのは、「侵害の確信」と「法的な立証」の間には大きな溝があるということです。
ベテランの視点: 「侵害しているはずだ!」という先入観で調査を進めると、自社に都合の良い解釈をしてしまいがちです。しかし、いざ訴訟となった際、相手方は全力で「無効審判(あなたの特許自体を潰す攻撃)」を仕掛けてきます。調査の段階で、自社特許の弱点まで把握しておく冷静さが、最終的な勝利を引き寄せます。
確実な権利行使のために、プロの「目」を。
他社の侵害調査は、単なる技術分析ではありません。その後の「警告状の送付」「ライセンス交渉」「差し止め訴訟」までを見据えた戦略的な証拠収集が不可欠です。
当事務所では、20年以上のキャリアを持つ弁理士・弁護士が、技術と法律の両面から徹底した調査・分析を行います。
- 他社製品が自社特許に抵触しているか判定してほしい
- 侵害の疑いがあるが、どう証拠を集めればいいか分からない
- 訴訟まで視野に入れた強力な鑑定書を作成したい
このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。豊富な訴訟経験に基づき、貴社の知財価値を最大化する道筋をご提案いたします。

